【感想】麻布という不治の病 めんどくさい超進学校 おおたとしまさ 東大 中高一貫 進学校
全国で唯一60年以上連続東大合格トップ10だけど、1度も1位になったことがない
「麻布」という学校は関東にお住いの方からすれば、当たり前のように誰もが知る学校なのかもしれませんが、地方に住んでいる身としては「へー、進学校なんだー」と思う程度だったのが正直なところ。
でも宮台真司先生の母校という意味で私は興味津々です。宮台先生の著書やラジオなんかの中で、麻布の話も時々出てきます。校則は3つだけ、授業中に出前をとらない・廊下をバイクで走らない・鉄下駄を校内で履かない、だったかな。
そもそもそんな事誰がするんですか?と言いたくなる内容なので、ますます麻布って一体どんな学校よ?と興味がわきます。
とにかく麻布に入った時点で、ちゃんと勉強すれば皆東大に行ける地頭の持ち主だという事。悪くて早慶だっていうんですから、まあレベルが違いますね。
そしてこの本の構成は、自らも麻布卒である著者が麻布卒業生にしたインタビュー9人分なのです。
まーみなさん、ぶっとんでます。
麻布という不治の病 めんどくさい超進学校 (小学館新書) [ おおたとしまさ ] 価格:968円 |
麻布卒の偉人(変人?)9人
では、それが誰かを列挙。
谷垣禎一 亀田隆明 前川喜平 湯浅卓 宮台真司 伊藤羊一 千葉功太郎
吉田尚記 ときど
皆さん中々のエピソード揃いですが、国際弁護士の湯浅さんは飛びぬけています。一時期日本のバラエティ番組にも良く出演されていたので、ご存じの方も多いと思います。あのテレビの感じからも只者ではないことは、わかっていましたが、これ程とは…。
湯浅さんのインタビューは本当に面白かったので、そこだけでも読んでほしい。9人分のインタビューと付録が4つ。どれから読んでも大丈夫なので湯浅さんのインタビューから読んだら一気に読みたくなると思います。
麻布は「江原素六の学校」
付録1では、麻布の素とも言える江原さんのお話です。
麻布の前身となる学校の経営を任された素六さんが、どのような思いで麻布を形作って来たのか、今読むと心に刺さります。
当たり前ですが、学校とは子どもを教育する場です。未来を育てていると言ってもいいかもしれません。
素六さんが考えたのは、明治維新の際に活躍したような、新しい社会を構築するアクの強いエリートを育てるにはどうしたらいいか。
意図的にそんな人物を育てる事など不可能なのだから、自らのびのび成長するのを後押しするしかないのではないか。古い人間は黙って青年を信頼するしかないのでは。
そんな信念の下に経営されていた麻布。なんだか心に刺さりました。今の日本で、そんな風に思って学校を運営している人ってどれくらいいるかしら。
そんな在り方の学校を認める人がどれくらいいるかしら。と、寂しくなってしまいました。
とにかく、笑って・驚いて・感心して・共感して・納得して・最後しんみりしてしまう本でした。ぜひ、読んでみてくださいね。
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