シュタイナー教育ってどんなの?
シュタイナー教育って聞いたことありますか?
聞いたことあるけど、詳しくは知らないという方が多いかもしれません。私もそうでした。なんならちょっと怪しい…宗教っぽい?…と思ってました。
シュタイナー教育は、多くの英才教育や幼児教育などのような学力重視ではないので、ほとんどの親にとって、取り立てて目立つ所がないかもしれません。
本や雑誌で取り上げられているのを目にした時も、全体的にやはり地味なのです。推奨されているおもちゃなどは、色の少ない天然素材のものであったり、お人形も布の手作りで、メルちゃんやポポちゃんのようにハッキリした顔つきでもなく本当に素朴です。お人形そのものも、服も売っているものではなくて手作りしますから、ほとんどの親にはそんな時間はないと思われることでしょう。
我が家のウォルドルフ人形(名前はウォルちゃん)
子育ての最終目標は何か?
しかし、具体的なシュタイナーの教育方針を知るにつれ、「すごく、いいやん!これ!!」と、目からウロコの連続でした。一番強く思ったのは、「私もこんな学校に行きたかった!!」です。
色んな目新しい授業、教える方法があります。音楽と一緒に勉強するとか(ドイツでは当時シュタイナーの学校を音楽学校と思っていた人も多かったとか…)、ダンスのような授業があったりとか、絵をたくさん描くとか、手芸の時間や園芸の時間があったり…。
それより何より、シュタイナー教育の最終目標です。
自分の子どもがどんな大人になって欲しいか?それを頭に入れて日々子どもに接していますか?
私は出来ていませんでした。というか、そもそもそんな考え自体がありませんでした。他の子と同じ時期に首がすわって、寝返りができて、立って歩くかどうか。
早期教育に幼稚園から九九のCD流したり、公文のドリルをさせたり…。みんなと同じか、少し早く出来るように、ぐらいしか考えていませんでした。そうです、気になっていたのは身体の発育と学力面のみです。それも他の子と比べてどうか?という一点です。
自分が育ってきた環境で常識だと思われていた事。学力至上主義で、良い学校に行って、良い会社に入って、良い人と結婚して、子どもを持つという事。漠然とそういうイメージしかありませんでした。なんという思考停止!
シュタイナーの目指す最終目的はなんでしょうか。それは「自由でいられる大人」という事なのかなと思います。
子どもたちに自由放任でのぞむという「自由教育」ではなく、おとなになってから、精神がなににとらわれることもなく自由に活動して、自己を実現できる人間になるように、それが「自由への教育」です。 「ミュンヘンの中学生」より
私のような思考停止の大人ではなく、自分の頭で考えられる人。親が言うから、先生が言うから、偉い人が言うから、上司が言うから、友だちが言うから、みんなそうだから…、ではなく「自分はどう思うか」考えられるようになるには、その前提となる知識や経験が必要です。
大人になると人生色んな事があるわけですが、その時に自分で考えて行動できる、何かの決断ができるというのは、確かに自由です。
自己実現というのは自己啓発みたいでちょっと日本では誤解を招きかねないと思うのですが、要するに自分の人生において何をするのか?を決めて行動できるという事だと思っています。
成人して、世の中へでていくとき、外の権威に頼ったり、世の中のすう勢に左右されたりしないで、自分自身の内部で考え、その考えたことには自己の感情がこもっており、しかも、その考えたことを実行できるという行為まで伴う、そういう状態を、シュタイナーでは「自由」というのです。 「シュタイナー教育を考える」より
誰かや何かに翻弄されて人生の時間を消費している状態は、確かに自由とは言えないでしょう。「自由」に生きていける子にする。何とも壮大で、果てしなく思える教育の最終目標なのですが、私自身も今からでもそうなりたいと望んでいます。子どもにもそういう「自由」を手に入れて欲しい。
そういう「自由」を持っていると、日本では生きにくいかもしれないし、つらい時も多いのかもしれないけれど、本当の仲間ができるのではないかと思っています。
権威や世論の様なモノに流されて集まった人同士では、「いざ」という時助けてくれないのかも知れないし、自分も誰かを助けようという気になれないのかもしれない。
シュタイナーの学校に入れるかどうか
ちなみに、シュタイナー教育を知るにつれ、「素晴らしい」という思いを強くした私ですが、実際にシュタイナー学園などに子どもを通わせるとなると、かなりハードルが高いと言わざるを得ません。
- シュタイナーの教育を受けられるところは限られている。
- 学力重視ではないという事について完全に同意できるかどうか。
- 私立なので学費が発生する。
- シュタイナー教育の特性を考えると、先生の能力がかなり求められるのではないかなと感じるので、素晴らしい先生はたくさんおられるでしょうが、自分の子にあたるかしらと考えてしまいます。(まあそれは公立でも同じですが、シュタイナーの場合は1年生から8年生まで持ち上がりなので、1年で担任が変わる公立とはまた違う意味合いがあります。)
シュタイナー教育で良いなと思う所
- 文字や数字の成り立ち、という部分から教える。字が出来る過程を追体験できる?感じかな。
- 具体的な所から始まり、抽象化されたものに移るのをなるたけ遅くする所。例えば、実際にどんぐりが5個あるのが具体、数字の5は抽象。
- 7歳まではファンタジーの中のにいる様に接する。我が子を見ていて思いますが、2年生くらいまでは本当に夢の中にいます。個人差はもちろんありますが…。その時期を過ぎたのに、親がファンタジーな事を言っていると冷めた返しをされて戸惑います(笑)。なので日本の公教育でも3年生から理科と社会が始まり、社会や自然の仕組みを学びますね。現実的な事の方に興味が沸いてくるのですね。面白いです。
- 音楽や絵などの芸術が授業と一緒に展開される。算数の勉強をしていて疲れたようならリコーダーをちょっと吹いてまた算数に戻ったり、Kの字を習う前に王さまの絵を描いたり…。
- 卒業する年になると、卒論のようなものを皆発表しなくてはならない。それは何でも良くて、演奏でも、家具や絨毯を作るでも、大道芸でも、何かの研究でも良い。それを他の生徒も毎年見ているので、自然と自分は何をするか考えるようになる。という事は、自分は何が好きとか、興味があるとか、得意かとか考える機会になる。
文字のなりたちを、家庭で教えられないかなと思っていて、見つけたこの本。小1の我が子にはヒットしました。まだ漢字は習っていませんし、ひらがなも怪しいですが…イラストがあるので自分で楽しそうに読んでいます。
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どうなんだろう?と思う所
- テレビやラジオ、CDなどを見せたり聞かせたりしてはいけない。これは…、無理だなぁと思ってしまう。ただシュタイナーさんの生きてた時代にこういうものが無かっただけなんじゃないの?と邪推。ごく小さい時は可能かもしれませんが、集団生活に入れば子どもの反発にあう事必至。現在のシュタイナー学校でどのように指導されているのかは分かりません。
- オイリュトミー 音楽と言語を体の動きで表すもの、なんですが踊りみたいな感じのやつみたいで。全学年の必須科目としてあります。イマイチ私にはこれの必要性が分かりません。見たこともやったこともないからなんとも言えないのですが、強い違和感を感じてしまいます。
私が読んだシュタイナー関連本
シュタイナー自身が書いた本は難解で、読むのが大変なのでシュタイナーの幼稚園や学校に子どもを通わせた親が書いた本を何冊か読んでみました。かなり古いものなのですが、授業の内容もよく分かるし、それに戸惑う親の気持ちも率直に書かれていてとても面白いです。
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学力至上主義という宗教
教育というものは全て宗教だ、なんて言う人もいるくらいですから、学力至上主義だってシュタイナーだって宗教なのかもしれません。何を信じるかは人それぞれですが、それこそ、シュタイナーの目指す最終目標のように、自分自身の頭で判断した上で選びたいものです。
そのためには他の宗教についても知る事は必要かなという事で、こんな考え方もあるんだーという程度でも誰かのお目に留まれば幸いです。